国立研究開発法人海洋研究開発機構(理事長 大和 裕幸、以下「JAMSTEC」という。)海域地震火山部門火山・地球内部研究センターのテハダ研究員らは、国立科学博物館、千葉大学、東京工業大学、米国オレゴン州立大学の研究者と共同で、現在太平洋上に独立して存在するオントン・ジャワ海台、マニヒキ海台、ヒクランギ海台がかつては一つの超巨大海台だったとする「オントン・ジャワ・ヌイ仮説」を裏付ける証拠を発見しました。
白亜紀は巨大海台を形成するような大規模火成活動が活発だった時期です。その中でも約1億2,000万年前に誕生したオントン・ジャワ海台は地球上最大の海台として知られていますが、現在は数千km離れた位置にあるマニヒキ海台とヒクランギ海台とかつては一体で、超巨大海台オントン・ジャワ・ヌイを形成していたとする仮説が2006年に提唱されていました。この仮説は主にプレート運動の復元に基づいて立てられましたが、三海台の間に年代値と化学組成のギャップがあることが問題となっていました。この仮説を検証するために、三海台の接合部と考えられるオントン・ジャワ海台の東端付近で、2016年に深海調査研究船「かいれい」による調査が行われました。採取された火山岩の年代測定と化学分析を行った結果、三海台の間にあった年代値と化学組成のギャップを埋めるような火山岩が初めて見つかりました。このことは、三海台のマグマの起源や噴出時期が共通することを意味し、超巨大海台オントン・ジャワ・ヌイの存在を示す証拠となります。また、オントン・ジャワ・ヌイにおける火山岩の化学組成の分布に基づき、マントル最下層から上昇したマントルプルームの活動により、この超巨大海台が形成されたとするモデルを提唱しました。
白亜紀の大規模火成活動は当時の地球温暖化の主な原因とされ、海洋無酸素事変による生物大量絶滅の引き金になったとも考えられています。本研究は、地球規模で起きた大規模火成活動の実態を明らかにしたことに加えて、地球内部に起因する地球表層環境の変動を解明するためにも、重要な成果と言えます。
本研究は、科学研究費補助金(26302010及び18H03746)を用いて行われました。
本成果は、「Scientific Reports」に5月25日付け(日本時間)で掲載されました。
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