理化学研究所(理研)生命医科学研究センター免疫器官形成研究チームの古関明彦チームリーダー(千葉大学大学院医学研究院細胞分子医学教授)、千葉大学大学院医学薬学府の高野淳一朗大学院生(研究当時、現理研免疫器官形成研究チーム特別研究員)、東京理科大学生命医科学研究所免疫アレルギー部門の伊川友活教授らの国際共同研究グループは、エピジェネティクス制御因子のポリコム抑制性複合体(PRC)の一つであるPCGF1-PRC1が、DNA複製フォークの近くで転写活性化因子の接近を阻害することで、新生DNA鎖上のクロマチン環境を整え、造血前駆細胞の分化能を維持していることを発見しました。
本研究成果は、細胞増殖と細胞分化の関連についての理解を深め、細胞運命制御機構の解明、ならびに造血器腫瘍発症機序の理解につながると期待できます。
従来、クロマチンの状態が遺伝子の発現状態および細胞運命を決定するため、増殖中の細胞がその特性を維持するには、分裂時にクロマチン構造が的確に継承される必要があると考えられてきましたが、そのメカニズムは未解明でした。
今回、国際共同研究グループは、PCGF1-PRC1の構成要素であるPCGF1を欠損させた造血システムの動態、ならびに造血前駆細胞の新生DNA鎖上のクロマチン環境を解析し、PCGF1-PRC1がクロマチン継承を介した分化能維持に重要であることを示しました。
本研究は、オンライン科学雑誌『Nature Communications』(11月28日付)に掲載されました。
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