東邦大学、千葉大学、国立環境研究所の研究グループは、東アジアの沿岸に広く分布する大型の十脚目甲殻類であるアナジャコUpogebia majorが日本沿岸では遺伝的に4つのグループに分かれ、日本国内に韓国や中国を起源とする大陸沿岸部由来の遺伝子を持つ個体が分布することを発見しました。また、松川浦(福島県相馬市)で採集された1個体は、遺伝的にも形態的にも他個体と有意に異なっていたことから、本種では初報告となる亜種である可能性が示唆されました。アナジャコは約1か月間の長い浮遊幼生期をもつため、海流などの物理的要因によって大陸沿岸部由来の個体が日本に到達した可能性があります。一方、日本では1980年代から朝鮮半島及び中国産のアサリが移植されてきました。本研究ではアナジャコが輸入アサリに紛れて生きたまま日本に移入した可能性も示しました。
この研究成果は2023年10月19日に動物分類学、系統発生学、生物地理に関する専門雑誌「Zookeys」に掲載されました。
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