東京大学大学院農学生命科学研究科の平尾聡秀講師と執行宣彦大学院生(研究当時、現:森林総合研究所研究員)、千葉大学大学院園芸学研究院の梅木清教授による研究グループは、落葉分解のホームフィールド・アドヴァンテージ(HFA)現象(注1)の生態学的メカニズムを明らかにしました。
本研究では、森林の異なる標高間で土壌と落葉を相互に入れ替える野外実験を行うことで、落葉が本来分解されていた場所の土壌において効率的に分解されるHFA現象の存在を発見しました。また、樹木の生育地の土壌に特有な微生物叢(注2)が落葉分解のHFA現象を引き起こしていることを明らかにしました。これらの結果は、森林における樹木と土壌のつながりを通じた落葉-土壌微生物間の適応的な関係が、落葉分解を制御する重要な要素であることを示しています。これは、土壌の健全性維持のために、場所ごとに特有な土壌微生物叢を保つことが重要であることを示唆しています。
(注1)落葉分解におけるホームフィールド・アドヴァンテージ現象
落葉分解におけるホームフィールド・アドヴァンテージは、植物の落葉が、その植物が生育する場所(ホーム)において他の場所(アウェイ)よりも効率的に分解される現象です。
(注2)微生物叢(びせいぶつそう)
微生物叢(マイクロバイオーム)とは、特定の環境に生息する微生物(真菌や細菌など)の集合体を指します。
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