【共同リリース】世界初!中性子による岩石膨張の線量率効果を確認 ―原子力発電所の長期運転安全評価への貢献―

2025.01.28

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概要
 東京大学大学院工学系研究科の丸山一平教授、村上健太准教授、千葉大学大学院工学研究院の大窪貴洋准教授、鹿島建設株式会社の紺谷修博士、澤田祥平博士、株式会社三菱総合研究所の河合理城主任研究員、江藤淳二主任研究員、およびエム・アール・アイ リサーチアソシエイツ株式会社の猪狩貴史博士の研究チームは、原子力発電所で使用されるコンクリートの長期的安全性評価に用いることを目的とし、異なる中性子束(注1)下での岩石鉱物の膨張量を評価しました。その結果、中性子束が小さいほど膨張量が小さく、また、岩石鉱物中の鉱物粒子が大きいほど膨張量が小さいことが明らかになりました。この膨張は鉱物中の結晶構造が乱れることによって生じますが、線量率による影響があることから、結晶構造の乱れが元の整列した状態に戻る回復現象が存在すると考えられます。この回復現象の影響と中性子照射による乱れの影響とのバランスにより、膨張速度が決定することを示唆しています。この現象をモデル化し、実際の原子炉における生体遮蔽壁が受ける中性子束の環境での鉱物膨張を予測した結果、従来の知見よりも著しく小さく、膨張量は1/10以下になる可能性が示されました。 
 これらの成果は、放射線が照射されるコンクリート部材の性能変化を適切に評価、予測することを通じて、長期的な原子力発電所の運転に貢献できると期待されます。

(注1)中性子束:単位時間あたりに照射される中性子の数。線量率ともいう。

中性子照射による石英の膨張の様子

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